全12話視聴完了。
この所、面白い作品=観易い作品であると錯覚しがちであったが、必ずしもそうではないのだなと思わされたアニメであった。流石インテリジェンス・ミステリーと銘打つだけはある。
物語りは、昭和12年、帝国陸軍中佐によってスパイ要請部門「D機関」が秘密裏に設立される。機関員として選ばれたのは軍人ではなく、超人的名選抜試験を平然とくぐり抜けた一般の若者たちであった。彼らは結城中佐の元、スパイ活動にあらゆる技術を身に付け、任地へと旅立っていく。目立たぬことを旨とするスパイにとって自死と殺人は最悪の選択肢であるとするD機関は「死ぬな、殺すな」をモットーに、陸軍中枢部から猛反発を受けつつも、世界中で暗躍する。
この作品を捉えにくくさせる要因として、まず、作品の時系列が1、2話以降ばらばらになる。今回、この感想を描くためにHPを確認した所、ストーリー時系列があった。
昭和12年 D機関設立。
昭和14年春 第1・2話
春 第12話(最終回)
夏 第6話
秋 第5話
昭和15年初夏 第7話
夏 第10話
初秋 第8・9話
秋 第11話
昭和16年夏 第4話
※第二次世界大戦[昭和14年~昭和20年]
また、この時系列をわかりにくくする原因として、各話ごとに主人公となるキャラクターが代わることもある。それが魅力ではあるのだけれども、それが全体を把握させるのを困難にさせている。また、単に時系列を把握するだけではなく、その時代背景というか、その時、何が起きていたのか知っておくと更に作品を楽しめるのではないかなと思う。
勿論、各話ごとに短編として楽しむことも可能なのだが、時系列で追って観ることも、結城中佐という謎の多い人物を知るという観点で観ることも可能で、何通りも楽しめる作品であった。
また、もう一つ。これは多分作り手が意図的な物であろうが、部分的に台詞の聞き取り難い箇所が多々あった。それは内容が複雑化している箇所でもあったため、つい画面に目が釘付けになってしまう。凄いなと思う。
個人的に最終話に、時系列的には第1・2話の後に来る所を持ってきた上で、作中の劇で「生きた証」という台詞を繰り返させる。これからD機関のメンバーたちがスパイとして世界中に散る事を思うと、なんだか考え深い。
総評としては中の上。何度も見返したい作品だった。