アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『昭和元禄落語心中 助六再び篇』

全12話視聴完了。

相変わらずの面白さ。第1期を見たときはまだ原作2巻までしか読んでいなかったのねと、感想を読み返して思い出した。(『昭和落語心中』 - アニメ視聴否忘失録)アニメ終ったら漫画読もうと放置していたのだが、アニメが良過ぎてもう少し余韻に浸りたい。面白かった。

アニメ第二期は助六再び篇とのことで、第1話にて菊比古さんに、八雲の回想夢中過ぎた第一期の想いが強過ぎて、歳を重ねた八雲さんのお年寄り感に切なくて、第1話はもう見ていられないとなってしまったのだが、第2話からの与太郎の勢いと、前作からの引き続き、物語り中で物語り中の物語りである落語と繋がって、心情の動きとの絶妙さで重ねてきて、嗚呼、もう語彙力なくて上手く書けないが兎に角凄い。凄かった。

第2話にて、期待感で膨らみすぎた第1話の悲壮感を畳み掛けるかのような与太郎の焦りと八雲の強さを突き付けられて、もう、もう、目が離せないと。更に樋口さんが良い味出していて。小夏という人間が落語に寄り添いつつも、一つの人生を黙々と歩んでいて。一方で、八雲と助六の関係性が。最後、本当にどうなるとと、続く落語の未来。含みのある小夏さん。震えるね。ん? んん?? うん。まさしく、そんな感じ。凄い作品見たわと最終的に思わせてくれる。凄いね。本当に良かった。

印象的だったのは、第9話の死神のシーン。火事というのは、本当に、ロマンティックでドラマチック。『死神』は何度も出て来たけれども、どの死神を思い出すというとこの死神で、最終話の死神が第9話の死神を更に印象深くした。

心に突き刺さったのは、第11話の銭湯で「あいつは弱い女だよ」とみよ吉の事を話す坊と助六。そのすぐ後に登場するみよ吉が急に菊比古に会った途端に声色を変える姿と、「女をやらなくてせいせいしているの」と語る彼女に、嗚呼、弱い女と、女としての強さと。更に、寄席に現れた小夏を抱き寄せる母の姿と。みよ吉が個人的に彼女の矛盾と生き方とが凄く突き刺さった。「みんなに優しくすればよかった。人間なんて一人で生きられっこないんだから。たった一人に縋るんじゃなくて、みんなと上手に頼りあって生きなくちゃいけなかったの」と。その後に亭主に頬を赤らめる、みよ吉がなんと素敵なのだろうと。みよ吉に夢中で嗚呼となっている中、寄席に上がる八雲を送り出す助六の演出。涙、止まらなかったね。仏様の座布団に現れた信之助からの最終話。落語の未来。

「落語が好きで人を愛した」と信さんと坊の指切り。ここで松田さん。どんな物語も、見届り人がいなと物語りは成立しない。と、とても落語的な登場であったなと。凄い。凄かった。「生きてりゃどうしても言えない事もいくらでも出てくら、しょうがないな、人間ってのは」「みんな、お優しいからあんなことになっちまった」。綺麗に、本当に綺麗に物語が完結した。こんな面白い作品が観られて、本当に、良かった。心からそう思えた。

総評としては上の中。今まで観たアニメの中で、個人的に、一番凄いと言える作品だった。良かった。

 

 

 

 

昭和元禄落語心中(1) (ITANコミックス)

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