アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『Spiritpact』

全10話視聴完了。

私はアニメを見てはいるがオタクではないし、単なる消費者にすぎない。そして、普段、アニメ会社を意識してアニメを見たり判断したりということはないのだが、この「絵梦」という会社は違った。今、個人的に凄く熱いアニメ会社なのだ。

絵梦アニメーションは何が今までと違うかというと、中国アニメなのだ。中国が日本式に作ったアニメーション。2014年に設立した上海絵界文化伝播有限公司のアニメブランドとして立ち上げられた会社で、その作品世界もその中国という国民性が色濃く出ている。つまり、自分が日本に生まれ育ち当たり前と思っている日常が微妙に違うのだ。家族、一族に対する考え方。恋人や結婚に対する意識。死や死者に対する考え方。血の持つ意味。そのずれが凄く面白い。更に、この会社の作品なのか、中国アニメがそうなのか、畳み掛けるようなテンポの良さ。アニメーション的に決して出来が良い作品ではないのだけれども、それでもこちらに退屈を与える隙のないストーリー展開にいつも惹き込まれる。

まぁ、そんな期待いっぱいで視聴を開始した『Spiritpact』なのだが、内容は予想外にBがLしていた。もう、完全にBL作品。もう、除妖師とかだとこっちは油断しているじゃない。しかも主人公の青年である身寄りのない日々を生きるのに精一杯な楊敬華が交通事故に遭遇し、死ぬ所から物語が始まる。そこに偶然居合わせたエリートイケメン金持ちの除妖師である端木煕と契約を結び、影霊となる。この二人の間にある一族の因縁。前世での関わり。無二の親友というか、もう、完全にお付き合っておりますよね状態。しかも最終回はキスするし。第3話で押し倒したり、第4話の冒頭で寝台でいちゃこらしていたりで、まさかと思ったよ。嗚呼、完全に油断していたわ。でも萌え豚な自分に良かったかと問えば、悪くはなかったと口元にやけて答えるのだろうなと。2000年代初頭の懐かしい系BL。いや、全体がちょっと懐かしい雰囲気。絵の流行とかもあると思うが。

まぁ、いちゃくちゃ過去も今も色々あったはあったのだけれども、一番印象的だったのは、第1話冒頭で、副業でパソコン修理をしているという主人公が、時々、部品を買うお金がなくて、こっそり近所のゴミ処理場で調達しているんだという場面。現代の日本では中々ない設定だよねと。そこでまず面白いなと。更に、その帰り道に主人公は「僕だってもういい年なのに、奥さんも車も家もない」「今のご時勢、大事なのは金と家柄。それとコネときてる。もっと違う人間だったらこんな惨めな思いしなくて済んだのに。もし生まれ変われるなら今度は絶対に今と違う新しい人生を生きる」と思いながら車に轢かれる。その直後、主人公は賠償金がと口にする。なんか、本当に色々衝撃的だった。いい年でも結婚していなかったり、都心に住んでいたら車は必要なかったり、家も賃貸の方が楽という考えもある中、そこ重要なんだと。それと、端木煕の婚約者の存在とその立ち居地。BLならば完全な当て馬的ポジションなのに、当て馬にならない。主張も存在も重要な立ち居地。更に家が決めた一族のための婚約であるにも関わらず、本人は不満もなく、端木煕自体もそっけなくはあるもののそれに不満を見せない。なんというか、恋愛と婚約は別なのかなという印象。最終話では主人公と婚約者が二人でゲームに興じているとか。第二夫人とか一夫多妻制っぽい。なんだか凄く面白いと思った。不思議。

あと、進撃のパロはこんなに自由にやって良いの? とびっくりした。

総評としては中の中。個人的には凄く好きだし良かった。