全12話視聴完了。
『神様はじめました』を彷彿とさせるのは、監督、スタッフが同じなのか。それにしたって、主人公が特に後半などは作り方がそっくりで、劣化版感がした。アニメ全体としてテンポが良くて観れてしまうけれども、絵も、設定も、ストーリーも、突っ込み所満載。寧ろ突っ込んでなんぼくらいの見方でないと楽しめないかもしれない。
ストーリーとしては、現代に生きる女子高生、綾月芽衣ちゃん。お化けが見えるという理由で孤立していた彼女。赤い満月の夜、怪しげな奇術師チャーリーのマジックにより、明治時代の東京にタイムスリップ。自分が現代に生きるということと、名前以外、記憶喪失になった彼女を救ったのは、なんと、イケメン擬人化した森鴎外と菱田春草。連れられて行ったのは鹿鳴館。そこで出会う、泉鏡花。川上音二郎。藤田五郎。小泉八雲。岩崎桃介。歴史に名を連ねる、イケメンたち。この世界では朧の時に物の怪たちが姿を表し、その姿を見ることのできる者は魂依りとよばれた。芽衣もその能力を持ち、その能力も相俟って、森鴎外の婚約者として屋敷に住みながら、彼らと絆を結んでいく。そして次の満月の夜。ネタバレるのだけれども、芽衣ちゃんは森鴎外とラブでこの不思議な明治の時代に残るか、現代に戻るのかという。
まぁ、観も蓋もなく言ってしまえば、戻るのだけれどもね。両想いとなるから、切なくはあるが、だけれども、それ以上に何で戻ることを選んだのかは、理由が弱くて謎だった。芽衣ちゃんの現代でやっていこうというの、芽衣ちゃんと両親の関係とか、思い残しとか、記憶が戻ったところで、その辺りの描写があまりなかったためか、スパダリ両想いな森鴎外と別の世界に生きる選択する心情が共感できなかった。最も、芽衣ちゃんが森鴎外に恋する過程も、惚れて当たり前のスペックと状況でありつつも、あまりに流されてという印象で、ああ、そうなのですかという感じでもあったのだけれどもね。
森鴎外。赤毛のイケメン。女の扱いに慣れていて、お金持ちで、適当に誠実で、スパダリっぷりがやばかった。そして森鴎外がそんな感じだから、舞台背景も、明治時代といいつつ、もうこれは異世界。タイムトラベルでなく、異世界転移。明治時代だけれども、何ちゃって明治モダン。大正ロマン。雰囲気で作っているから、第二話で登場した牛鍋なんかは、『るろうに剣心』で見たよね、そんな感じかなレベルの印象。でも食べ物に特筆して言うならば、中村屋のあんぱんに、煉瓦亭の登場は、嗚呼、旨いよね。食べたいな。特に煉瓦亭の小海老のフライは絶品だよねと、関係ない所で食欲を刺激してきた。完全に本編と脱線しているけれどもね。絵的には第一話で出た芽衣ちゃんの好物のローストビーフが赤身のない単なる茶色い塊という時点で推して知るべし。
突っ込み所を全て書き出すとどうしようもなくなりそうなのだけれども、得に度肝を抜かれたのは第6話の「夢と情熱のエレキテル」の回で電気を説明するにあたり、芽衣ちゃんがいきなり歌いだした所。そしてその電気の使い方が最新過ぎて、その説明って電気だけだと無茶じゃないかいみないな。例えばペンタブとかね。あれは歌が爽快で印象的だっただけに、ちょっと引いた。そもそも芽衣ちゃんって歌いだすようなキャラだったっけとかも。最も、キャラクター性だけでいうならば、芽衣ちゃんの登場が影のあるクールキャラっぽかったのだけれども、既に第1話の後半ではローストビーフに釣られて行くお馬鹿キャラになっていたし。性格が掴みにくかった。森鴎外に出会って本来の姿を取り戻したというのは、好意的解釈過ぎるだろうかとか思いつつも。
良かったのはエンディングの曲。『星屑の詠み人』。なんだか期待感と切なさとを連想させる作りで、第一話と最終回で聞いた時の印象が変わって面白かった。
総評としては中の下。心に余裕があると楽しめる。