アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『十二大戦』

全12話視聴完了。

嗚呼、物語とはこういうものなのかもしれない。人の抱えるドラマと、人と人の関わりによって生まれるドラマ。こんなの初めてだ。いや、よく知っているけれども、こんな作品を観たことなかった。そんな奇妙な印象を受けた。

あらすじは簡単で、十二年に一度開催される第十二回目の十二対戦。干支の名を宿す十二人の猛き戦士たちが互いの命を懸けて戦う。その願いに勝利した者はどんな願いでも叶う。陰謀と殺戮の渦巻くバトルロイヤルが開戦し、最後に叶えられる願い。

物語としての躊躇いなくさっくりと登場人物が死ぬ。十二人の戦士がいて、十二話しかないのだから、単純計算でも1話に1人死ぬのは自然な流れなのだけれども、各々のキャラクターの人物の生い立ちなどを掘り下げて、回想などもありつつ、思い入れが出た所をあっさりさっくり一つの人生か完結する。だから十二人全員が主人公で、脇役でもあった。

何故こんな戦いがあるのか。この戦いをどうにかしよう。申はそんな事を考えていたようではあったが、確信には触れられず。つい十二対戦という仕組みそのものに目が行きがちではあったのだけれども、この物語りの根本がそこにはなかったから、重要ではなかったのだろう。あくまで、このドラマはキャラクターにあるという。

個人的に印象的だったのは、亥こと伊能淑子。プライドの高いお嬢様キャラクター。第1話でその家庭環境や彼女を取り巻く状況の上で勝利を目指す姿に、嗚呼、彼女が主人公なのかなと思わされた所に、あっさりと腹を一突きされた上に死体を利用されるという。衝撃的だった。

そして、愛すべきキャラクターという点では、イケメン正義で紳士な丑と、虎の絡みはよかった。人と人の関わりで生まれるドラマとか、影響とか。虎に重要なことでも、丑は覚えていなかったり。嗚呼、そんなものだなとか。そういうのを含めて凄く良かった。

最終的に十二対戦に勝利したのは鼠こと、現役高校生の墨野継義。最終話の「どうしても叶えたいたったひとつの願いと割とそうでもない99の願い」では、戦いが終った後、日常に戻るのだが、与えられた願いを持て余し、それに苦しめられ、最終的に忘れる事を望んで。個人的に、嗚呼、それで終るのかと変にすっきりした。戦いが、綺麗に終わったなと。

アクションも格好良くて、キャラクターも印象的で、特に兎とか気が違っている奇妙な衣装で、だけれども誰も憎めない感じで。あっさりしているのに、ふと思い出すのだろうな。そんな作品だった。小説も面白そうなので機会を見て是非読みたい。

総評としては上の下。若干の物足りなさを感じるのは、綺麗に終り過ぎたからだろうか。

 

十二大戦 (JUMP j BOOKS)

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