アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『メイドインアビス 烈日の黄金郷』

全12話視聴完了。第2期。第10話の後に声優さんの総集編が入り、第11話と第12話のまとめて1時間放送での最終回。
総集編、全然良いのだけれど、なんだろう。あと2話と思っている所に急に入れられて、最終話をちょっとだけ見せますとか、いや、普通に最終話を観るのに、そんな事前に見たくないのだが。そして「素敵な最後です」とか、そういうのは見た後にこっちが思うことなので、そんな直前に言われたくないと。録画されていたので、一応見たが、なんだか、最終回の1個前の総集編って意味なくないかと。

sobraniepinks.hatenablog.com今回の物語りは、アビスにあるとされる黄金郷を目指す旅をした「ガンジャ」隊の回想と、深界6層「還らずの都」へと進み、そして、そこにはは成れ果てたちが独自の価値観と言語で生活をしている「成れ果ての村」に辿り着いたリコとレグとナナチの物語りが並行して進む。そして、なぜ成れ果ての村ができたのか。嘗ての決死隊のメンバーが何をし、どうして成れ果ての村の住人として生活するようになったのかが次第に解き明かされて行く。
「星の羅針盤」を持っていたヴエコと、原住民の少女イルミューイ。「神がかりの預言者」と呼ばれるガンジャの隊長でワズキャン。最後まで自分を失えなかったベラフ。ようやく見付けた水により、気が付けば次々と身体を蝕まれ、倒れていく隊員たち。願いを叶えるとされる、欲望の溶岩、黄金の蜂蜜を固めたかのような卵。使わせるなら幼体が良いと。イルミューイの母を求め、自ら母になりたいという心の願いと、それを利用したワズキャン。子を求めるイルミューイはその姿を次第に変え、毎日、翌日には死んでしまう子を産み、そのスープが隊員を救い、新たに作られる世界。
そんな過去とは別に、一見、安全で平和に見える村でまるでバックパッカーのように旅をするリコたち。そして知る村の秘密。ミーティと再び出会ったナナチ。成れ果ての姫であり、イルミューイの産んだ末の子である、村を滅ぼそうとするファプタ。それと、レグとファプタの過去。
最終話の最後の最後。「かつてのボクはそんな君の姿を見ていたのか⁉」「ボクは君と旅に行きたい」とレグのたらしっぷりは発揮していた。今回、リコとレグよりも、ファクタとレグの関係の方が中心だったなと。微妙な三角関係。獣のもふもふが色々な物を緩和してくる。怖い。
「愛こそが呪い。行く末には闇しかないと知っているのに」でどうして「あんなにも眩しいのだ」となるのか。眩しさどころが、何一つ光を感じなかったのだが。

冒険譚なのに、閉塞感しかない。
どうしてこんな地獄のような世界を描ける物語を考えられるのか理解できないよ。
喉の奥に重たい何かが詰まって、特に第8話の子供の悲鳴はずっと耳に残った。
しんど過ぎて感情の処理が追い付かず、泣くということはなかったが、じんわりじんわり思い出されて、多分、これはいつかこの感情の処理ができた時に泣けて来そうで怖いわ。こんな物語で出会ったのは初めてだ。
なのに、コミカルな動きのキャラクターに、一見可愛らしくも感じるギリギリラインのデザインは、気持ち悪さと可愛さの紙一重の僅かに恐怖に寄ったデザインで。そんななか、リコの冒険にかける情熱と前向きさと純粋さはいっそ狂気。狂えないとヴエコは言うが、リコこそ別の方向に狂っていて、それがこんなどうしようもない世界で一見明るく見易くさせていることが怖かった。
もう、本当によくできているから、目が離せなくなって、夢中で12話観てしまったよ。面白いと手放しに言えない。ただ、動きも絵も綺麗な画面に、最高の音楽に、本当によくできていて、恐怖が後からじんわりと消えない。つらい。そして冒険はまだ続く。
総表として上の中。こんな怖いのに、多分、続編も夢中で観るのだろうなと思う。