アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『ひげを剃る。そして女子高生を拾う。』

全13話視聴完了。
こんなこと言いたくはないけれども、馬鹿しかいない。無理だよ。不愉快。自分は決して物語りを否定したくはないと思っているし、同じシチュエーションでエロ漫画だったら、異世界転生だったら、それはそれで許容していたと思う。が、これは駄目だ。まず、女子高生を拾うという導入を受け入れられても、終始、これはどうかとおもうと思わせてしまう作りでしかなかった。それはもう物語を作る上で破綻しているのではないか。これが売れたの? 本屋さんで平積みなのも、ポスターも見たけれども、そうできるだけの作品なの? これで大丈夫なの? 
ストーリーは、都内在住一人暮らし独身サラリーマンの吉田が、ある日、会社の上司である年上お姉さんである後藤さんにに振られて酔って帰る途中、道に落ちていた家出中の美少女女子高生沙優を拾う。宿の代わりに肉体を提供するという女子高生の誘いを断り、その価値観を否定し、家事をするかわりに女子高生の逃げ場で居場所になろうとする吉田。そして始まるほのぼの同居生活。
一番は、吉田気持ち悪い。26歳でおじさんという価値観が合わない。そしてそれは良しとした所でも、彼がやっていることって今までの他の男と一緒でしょうと。女子高生に選択肢のない状態のまま、居場所を作ってやると言えば聞こえは良いけれども、己の家に囲って、己の勝手な倫理観で説教をして価値観を押し付けるの、気持ち良いよね。セックスしないだけで、他の男と一緒じゃないかと。吉田を優しい男と言うの、理解できない。スタートから警察案件ですけれども。未成年の家出少女を保護するのって、行政であたったり、法人であたったり、何かしらあると思う。せめて警察でなくとも、そういう選択肢が彼女にはあると教えてあげることこそが大人の役目ではなかろうかと。それを論さない吉田の同僚たちも、どうなのだろうと。
後藤さんも、吉田を振り回して処女告白までは、まぁ、大人同士の関係だしどうでも良いかなと思ったのだけれど、女子高生のことを知って、夜の家に押しかけて、やっとまともな大人が来たかと思ったのに。結局彼女のやったことも吉田と同じ自己のエゴを押し付けるような説教。更には女としての牽制まで加わって。何だ、この茶番と。そして女子高生完全に後藤さんに丸め込まれて、もう、何だろう。嫌な大人だよ。後輩の三島を女子高生を尊重しているようで、結局は自分の思ったことを言って勝手に恋のライバルに勝手に塩を送った気になって泣いて、何処にも共感できない。
この作品の大人たちは、女子高生を何だと思っているのだろう。扱いが完全に犬猫。子供ではあるけれども、同じ人間だよ。幼くはあるかもしれないけれども、そして、彼らはどれだけ自分をちゃんとした大人だと思っているのだろう。駄目だ。自分も年齢的には充分に大人だけれども、全くちゃんとした大人だと思えないし、女子高生にあんな風に物を言えないよ。
女子高生の家出の理由。過去。お祭りとか子供の頃以来、綿菓子食べるの初めてとか、伏線かと思った。お嬢様で箱入りでとか。でも全くそんなことなかったよ。そして、伏線はなかったはずなのに、なんとなく予想できた親友の死からの家族不和という。まぁ、逃げたい理由としては充分だと思うよ。田舎の閉塞感とか。母親の無理解とか。思春期のあれやこれを抜いても、逃げて良いと思う。でも、お兄ちゃんいるじゃんと。なんだか優秀でお金持ちなお兄ちゃんの所に行って、彼が保護者になるじゃ駄目なのかと。いや、でもお兄ちゃんも女子高生に色々約束したと所で30万円渡して駅まで送ってやるって、若い女の子に大金持たせて危険とは思わなかったのかとか。お兄ちゃんがホテルかウィークリーか用意してあげて、母親と共にカウンセリング受けさせてとか、もっとあっただろうと。母親も酷い所はあったかもしれないが、精神的に不安定な人間に一日に沙優ちゃんと吉田と一気に合わせえて、負担考えようと、とか。不安定な人間が一度納得したからと、明日は同じとか限らんぞとか。

お兄ちゃんは完全に物語のご都合主義を担っていただけなのかと。あと、矢口も。物語をもう動かしたい、こんば場面を描きたいからいるみたいな。
大人もあれだけれど、女子高生も変にずるくて馬鹿だったなと、思ってしまった。それでも可愛いくて不幸な主人公として受け入れられるかなと、ラストの方まで思っていたのだけれども、実家に帰って吉田が家に泊まって、お布団に潜りこんだので完全に駄目になってしまった。「エッチしよう」って。実家で。お前はどんだけ甘えたなんだよ。お兄ちゃんに30万円貰ったのに何も思う所ないだけでなく、吉田がこうして沙優ちゃんの実家にいるのって、沙優ちゃんと肉体関係が何もなく、それをお兄ちゃんが信頼してという経緯があるのを何も見ていなかったのかと。お兄ちゃんの気持ちをちょっとでも考えようよ。そういう所、ちゃんと考えないと本当に駄目だよ。勝手に不幸のヒロインになってと思ってしまうよ。そして家出した時も、行かなくなった高校の制服で出て、最後に吉田を空港に送った時も制服で、女子高生ブランドの価値を知って、それを最後の最後まで利用とするしたたかさや狡さはあるのだなと。
女子高生だって中卒で働けば社会人だし、法律で16歳を越えれば結婚もできるのだよね。そして吉田は沙優ちゃんの母親に「母親しか保護者になれない」と偉そうに言っていたけれども、世の中には親が親として機能しない家庭や、その家庭すら持たない人間がいるって知らないのかな。視野が狭いよ。この説教を例えば母親に虐待されてきた人が見たらどう思うかかんて関係ないのだろうね。自分はもうそういう所が生理的に無理だった。そしてこの作品を好意的に観ている人も無理だと、そんな風に思うアニメに初めて出会ったよ。
まぁ、そんな正論をあれやこれや思ったことで、物語性を優先した創作物である時点で、何も問題ではないし、気持ち悪い、受け入れられないと個人的に思っただけで、女子高生を拾う物語りというのは完全否定するつもりもないよ。でも、もっとやりようはあったのではないかなと思う。ここ数年、急にフェミ関連の倫理観や価値観が変わったと思うし、厳しくなったなと思うけれども、それを差し引いても物語として下手なんだよ。視聴者に現実を連想させてしまう時点で、失敗なんだと思う。何だろう、女子高生を拾うのは寧ろ好き系なのだけれど、これは駄目だ。嫌悪感。
今期の女子高生アニメ『スーパーカブ』に引き続き、上手く物語性と現実の折り合いが付けられていない作品だったなという印象。
総評として下の上。アニメだからこんな感じだったのだと、思いたい。

 

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