アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『宝石の国』

全12話視聴完了。

綺麗だった。音楽と画面と。面白かった。なのに、なんだろう。いま一つ入り込めないこの感じは。

独特な世界感。未来の話し。かつて存在した生物が不死の身体を持つ「宝石」になった世界。月から飛来する謎の敵「月人」。月人は特に美しい宝石を好み、宝石たちを攫おうとする。どんどん強くなる月人たちと宝石たちの激しい戦い。宝石たちの中に存在する圧倒的力を持った「先生」と呼ばれる存在。先生と月人の関係。

最年少の宝石、フォスフォフィライト。硬度三半が脆く、靭性も弱くて戦闘に向かない。他の職業適性もないにも関わらず、根拠のない自信に溢れ口が達者な落ちこぼれ。どんなフォスに与えられた仕事は博物誌編纂。文句たらたらで始めたそんな仕事だが、それを通して、体から毒液を撒き散らしてしまうという特異体質を持つシンシャと近付く。シンシャはそんな体質ゆえに自らを夜に閉じ込め心を閉ざしていたが、シンシャに助けられたフォスはそんなシンジャに夜の見回りよりももっと楽しくて素敵な仕事を探してあげる。「次は自分が君を救ってみせる」と約束する。調子が良いフォスだけれども、純真で素直で優しいフォス。それゆえにか、その目で世界を見、様々な経験をし、次第に大きなうねりに飲み込まれ、欲しかった強さを手に入れるも、その先にあるものは。

何度も身体が砕けて、それを繋いでの不死。身体を失くすと、記憶も失われる。不死ゆえに悲壮感はなく、死という概念もなく、ただ、美しい宝石が砕けて散って集めて繋いで。綺麗だけれども何処かグロテクス。でもって、宝石という無機質な物に人格や感情や記憶という物が組み込まれているというアンバランスな印象を受けた。

フォスはその弱さ故にまずは脚を失くし、月人が落としていき知り合った海の生物から貰った貝殻と接合し俊足を手に入れる。次に砕氷作業中に失った両腕の補填として、金と白金の合金を接合するも、直後に上手く動けなかったために目の前で、冬眠する宝石たちを守っていた寒さに強いアンタークを奪われてしまう。さらに砕けて見付からなかった部分の補填のために髪を使い、表情も姿も性格も変わったフォス。第6話「初陣」で向いていないのに何故戦いたがるのかと先生に問われたフォスは「そんなの、先生が大好きだから助けたいんです。みんなもそうでしょ」と何の疑いもなく答えた。最終話「新しい仕事」では「本当のことを知りたい」と渇望するフォス。

また、謎の敵である月人。月からやって来る仏様のような神々しい姿と音楽。先生のお坊さんのようなビジュアル。生徒達という風貌の宝石たち。何も物語りは終ってはいないし、謎ばかりなのだけれども、こんな確立された独自の世界感で動き出す物語り、終結もだし、どう動くのかもだし、何も予測や想像できない。不思議過ぎて自分の中でどう処理したら良いのかわからないよ。こんな作品、他に知らない。凄かった。

総評として上の下。これ映画館とかで見たら凄く良さそう。

 

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

宝石の国(1) (アフタヌーンKC)

 
フォスフォフィライト