アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『咲う アルスノトリア すんっ!』

全12話視聴完了。
全然良く分からないけれど、とても可愛いらしかった。作り込まれた世界観に、英国の妖精モチーフ的なファンタジー要素に、愛らしいキャラクター。ただ、最後まで謎だったのは別軸で動く騎士と言われるイケメンたち。敵なのかなと思うが、最後まで直接的絡みもなく、この12話は何か別の物語りの序章でしかなかったのだろうかと。
ストーリーは、全寮制の魔法学園都市アシュラムを舞台に、ペンタグラムと呼ばれる少女たちが淑女を目指して日々学び生活する日常系作品。
主人公はすんすん鼻が敏感でいつも不安そうな少女アルスノトリア。ムードメーカーのおかっぱ少女メル。無口でマイペースな黒髪ぱっつんの小アルベール。委員長のお嬢様なピカトリクス。クールなお姉さんアブラメリン。彼女たちのお茶の時間、ミルクの量やスコーンにはクリームが先かジャムが先か。どのジャムが好きなのか。この作品の大半はそんなお茶の時間で成り立っていたように思う。
第1話から謎の生き物が「やけたなりー」と運ぶスコーンに始まった、毎回の、お茶の時間の、紅茶にそのスコーンは素敵で美味しそうだった。更に、第2話の花壇で採りながら食べる野イチゴ。そしてそのジャムを挟んだビクトリアサンドイッチ。第3話の朝食はベーコンに目玉焼き、トマトと千切りキャベツかな。という実にシンプルにも関わらず、野菜には青い小花が添えられ、猫の形のポテトかな。更には縦に並べられたトースト。二種類のジャムが乗った天秤のような美しい器。ありきたりなのに、見たことのない朝食に、もう、目が離せなかった。そして、特別なアップルパイ。フィリングがブラックベリー入りで赤い。猫の肉球のクッキー。第4話の、深夜の、満月の夜にしか咲かない光花で入れた青く甘いお茶。第5話のカリカリベーコンの乗ったパンケーキにこっそり挟むチェダーチーズ。勿論、シロップたっぷり。売店で「おおきいたくさん。ちいさいすこし」という質問に「ちいさい、すこし」と答えて出て来るサンドイッチ。図書館の本棚の上で食べようとするも、書庫での食事は禁止なので登った本棚の上。茶色いパンに胡瓜だけを挟んだサンドイッチは美味しいよね。そして唯一登場する夕食は謎のソテーしてソースののったお肉なのか茸なのか。付け合わせの奇怪な顔の付いた人参とブロッコリー。マッシュポテト。元が想像の範囲のよくわからない食べ物って、惹かれるよね。第8話の青い茸で作るシチューもどんな風になるのか見たかったな。第9話の雪の積もる野外の出張売店、白く暖かい食べ物。「ホットミルク」「ホットチョコレート」は勿論、あの雪玉のような物はなんだろう。そして温かい部屋で飲むジンジャーたっぷりのお茶とか。もう言葉だけで魅力的。多分、絶対に蜂蜜もたっぷり入っているはずと思っていたら、外の洞穴で雪を入れた薬缶を沸かして飲むお茶って、その上ジャムまで入れちゃうなんて、更なる素敵があるだんてともう最高が過ぎるだろうと。そしてそれて終わりかと思えば、温かいお部屋で温かいお茶と共にシロップたっぷりの雪のカキ氷とか。想像の上を行き過ぎている。凄い。第話のお部屋を使わせて貰っているお礼に残すシンプルなクッキー。最終話は焼きたて大量のスコーンに戻る。丁寧にミルクから注いで淹れる紅茶。切り分けられたケーキ。豪華なお茶。
食べ物も魅力的だったけれども、その舞台となる建物も素敵だった。城のような学園。特に図書館。高く聳える大量の本棚に硝子張りのアーチ状の天井。雲の上から眺められるような塔。美味しいお菓子を売る売店。寮の個室の無骨な石の床と壁に、白いリネンにそろいの白い寝巻の絶妙なバランス。深夜の温室。大きなレンガの窯のあるキッチン。冷たい要塞のような建物にも関わらず、そこが温かい場所に見えるのは、日の光とペンタグラムの少女たちの華やかさからだろうか。
印象的だった回は、第5話「す―……」で外の世界にお使いに行くシーン。普段、閉鎖的な学園で過ごす彼女らか、外の世界で姿を隠して普通のお店でのお買い物に四苦八苦する姿。「柔らかで美味しい牧草を食べて育った牛のミルク」「とにかく元気な鶏の卵」という抽象的な物を探し求めて翻弄する回。特に、お店をピカピカにしたお礼に貰った林檎と玉子を交換するのが好きだった。
まぁ、そんな可愛いと素敵が詰め込まれた少女たちとは別にある「虫がいると騎士が沸く」という、あの、対局な冷たく血生臭いイケメン騎士集団。多分、少女たちを追っているのだろうけれども、第7話で「異端を滅ぼす」と言っているのが全てなのだろうなとは思う。英国で魔法使いだと、魔女狩り的な。ただ、なんだか、本当に絡みがなさ過ぎてよくわからないまま終わったなと。キャッチコピーの「魔法(かわいい)は負けない。」というのを後で知ったが、可愛いと格好良いの戦いなのかなとか思ったり。個人的にあの可愛いにあのイケメンがどう接するのか、ちょっと見てみたいなという興味はある。
最後の見せ場は焼き落された白と、ジャムを落とさぬために使用した魔法という、対極なあれだったのかな。何かの暗示か比喩だったのかな。「落ち着くとことに落ち着いたのわ」「今日だけ」とか、意味深。最後、教師陣は何か知っていそうな感じで終わってはいたものの、謎。
総表としては中の上。美味しいミルク入りのお茶とスコーンが食べたくなる。ヌンチャとか行きたくなるねと、あの省略言葉は何度聞いてもちょっと面白くてつい使っていたが、いつの間にか浸透していて怖いわ。

 

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