アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『ミギとダリ』

全13話視聴終了。
綺麗な絵柄でシリアスに話しが進んでいくミステリーサスペンスなのだが、基本がコメディ。真面目で当たり前のように違った常識と思考で進行するストーリー。見始めるととても面白いし、よくできているのだが、独特の世界観に予測不可能な展開で、変にストレスがかかる。意味がわからないというのはストレスなのだなと、面白いとノンストレスはイコールでないのだなということを、この作品で学んだ。
舞台は神戸市北区イリゴン州。児童養護施設で育った美しい少年ミギとダリが子供のいない園山夫妻に養子として引き取られる所から物語は始まる。見た目そっくりの双子の少年。しかし、彼らは己の正体を隠し、二人でひとりの少年、園山秘鳥を演じる。二人は克てアメリカ郊外を模したこの村でメイドをしていた母親を殺した犯人を捜し、その死の真相を暴き、復讐することが目的だった。そのために村に溶け込み、ボーイスカウトに入ったり、学校へ通ったり、成績の振るわないミギの為に優秀なダリが女装をしてミギに接触しやる気を起こさせたり、村の有力者一条家に潜入したり、監禁されたり、家政婦のみっちゃんさんが殺されて、犯人に仕立て上げられそうになったり、一条家の秘密と、その長男瑛二の正体を知ったり。
アメリカなのか日本なのか。もうこれ自体がファンタジーなのか。当たり前に園山洋子と園山修という日本名にも関わらず、金髪ママのオーバーアクションでチェリーパイとぐっとボーイという言葉が印象的で。もう何が何だかだった。変にリアルなのが余計に意味不明で謎で衝撃的だった。
キャラクターも個性的で、特に家政婦のみっちゃん。ゴシップ大好きで、村の情報通。登場シーンは秘鳥君への過剰なスキンシップになんなのこの人、となったが、最後、一条家でダリとその秘密を探っているときに、急にまともな大人として存在して、この無茶苦茶な世界観で奮闘する孤独な子供を助ける大人に気持ちが鷲掴まれた。
ミギとダリの不幸な生い立ちに園山夫妻も学友も優しさでいっぱいだったのだけれども、優しさって受け入れる難しさがあるのだなと。だからこそ最終話でダリが布団の中で涙を流すシーンに、クリスマスプレゼントが2つ並べられているのに、食えない奴という表現がそのままな園山夫妻に、もう涙なしに見られなかった。最後の最後でこんなの泣くしかなかったよ。大人になって別の道を歩むミギとダリも、嗚呼、好みの作品でないから、底知れぬストレスがかかるからと、途中で視聴を断念しなくて良かったなと。本当に綺麗にまとまった作品だった。
総評として上の下。

最後に、作者さんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。本当に面白い作品をありがとうございました。

 

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ミギとダリ