アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『ましろのおと』

全12話視聴完了。
三味線格好良いよね。聞いていて好きだなと。だから、三味線アニメ良かった。音楽に映像とストーリーが付いた時って、音楽のポテンシャルを更に高めると思う。『ピアノの森』とか『四月は君の嘘』とか。ただ音楽を聴くのも勿論良いのだけれども、付属するものができると気持ちが更に動くというか。なので、三味線音楽をより良く聴くためにストーリーが付属して良かったと、思った。が、ストーリー自体は考えれば考えるほどもやもやとする内容なので、それを演奏で緩和している印象だった。主人公が理不尽な目にあい過ぎていて、それを受け入れがちな状態に、嗚呼、彼の育った環境が慮られて、切なくなる。大人たちは彼に三味線を弾いて欲しくないのだろうか。
ストーリーは、師匠であり育ての親でもあった祖父松吾郎の死をきっかけに、青森から逃げ出して東京に来た主人公の少年、澤村雪。偶然出会ったホステスで売れないグラビアアイドルのヒモとなり、あれやこれやで彼女の彼氏の売れないバンドマンの代役でライブハウスで演奏する。そこが物語の起であり、最初の彼の変化で見せ場。その後、彼女は芸能事務所を辞め、新たな門出と別れ。そして残されたバンドマンの男と主人公。個人的に、このままジャンルの違う二人が出会って、三味線の新たな可能性。和楽器バンドという新ジャンルでロックな日々が始まると、思うじゃないか。思ったのだよ。まさかそこから学園物、熱い青春をかけた部活、津軽三味線部になるとは完全に予想外。
唯我独尊傍若無人な美人社長の母親、梅子の計らいで、下町の定食屋の2階に下宿し、東京の高校に通うことになった雪君。そこで出会ったクラスメイトの小動物のような前田朱利ちゃん。彼女の祖母が昔聞いた松吾郎の即興曲をもう一度聞かせてあげたい。自分も聞いてみたいと立ち上げた津軽三味線愛好会。その願いを叶え、入部することになった雪君。第2の見せ場。
朱利ちゃんの幼馴染でゲームやアニメが好きで、コンプレックスが強くて、雪君のライブ配信を見ていた山里結ちゃん。同じく幼馴染の元サッカー部の弁護士の息子の、一方的に自分の憶測で感情をぶつけがちな矢口海人君。面倒そうな幼馴染3人組に加え、長唄などに用いられる細い三味線である細棹を、三味線の師匠である母親に仕込まれた噺家の息子でオネエ言葉の手芸部の永森雷先輩。このメンバーで、梅子の主催する第一回三味線甲子園松吾郎杯を目指して頑張ることとなる。学園のOBで三味線会の若き流星的なイケメン奏者の神木清流。学園に残した三味線をきっかけに、愛好会のメンバーと出会い、雪君が気になって仕方がない彼との合奏が第3の見せ場。
そして合宿、大会へ。団体戦に始まり、個人戦。雪君を取り巻くあれやこれやの本人の知らぬ所での思惑やら何やら。音楽を個人が面白おかしく楽しむだけではいけないのだろうかと思わずにはいられなかった。
最後、個人戦の前。梅子の言葉がなければ、雪君は最初から最後まで自分の演奏をして、優勝していたよねと思う。落ち込む雪君。もう、全然物語は終わらない。最後まで観たらすっきりするかなとおもったけれど、多分、団体戦が終わった段階で終えた方が気持ち的にはよかったよ。その上、最後の雪君の演奏、第11話から最終話の間でひっぱって、その上、回想の入る一番の盛り上がりは三味線の音ではなく、ピアノのバックミュージック。いや、あれはあれで実際の演奏がないことによる想像をかきたてられたのかもしれないけれど、ここまできてそれはないよと、こんなこと思うこと滅多にないのだけれど、この演出はないわと。もうもやっとした感じしかない。
色々なことは置いておいても、第2話の梅子との親子演奏「林檎の花」は良かったな。梅子さん、問題はあるけれども自分の希望がはっきりして手段を選ばないのは嫌いではないのだよな。
演奏のシーンだけ編集した物が観たいな。これから雪君がどう立ち直って成長していくのか、多分、原作の漫画の方は読まないと思うので、続編作って欲しい。思えば『赤ちゃんと僕』もちょっと暗い気持ちになったのだよな。久々に読み返してみようかな。
総評としては中の上。

 

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