『転生王女と天才令嬢の魔法革命』

全12話視聴完了。異世界転生。悪役令嬢物からの派生系。
悪役令嬢、婚約破棄現場から王子の姉の救済という無茶苦茶導入からの百合展開。
舞台は、中世ヨーロッパ風の魔法のあるファンタジー世界にある、レッティア王国。主人公はその国の王女、アニスフィア・ウィン。パレッティア。彼女は、現代社会に生きた前世の記憶があった。そして、魔法が重要なこの国で魔力がないという落ちこぼれの問題児。キテレツ王女などと言われながらも、魔法に憧れ、王位継承権を放棄し、日夜、魔法で空を飛ぶため、魔法の研究に勤しむ天才で、更に同性愛者という、ちょっと色々詰め込まれ気味主人公だった。そして、そんな彼女が魔法帚の試験運用で暴走し、飛び込んだのは貴族学院の夜会。まさにアニスフィアの弟アルガルドが、魔法の天才と呼ばれ、次期王妃として勉学政治武芸に精通した完璧な天才美少女でマゼンタ公爵家の令嬢、ユフィリアに婚約破棄を言い渡した場面だった。そこで1人立ち尽くすユフィリアに手を差し伸べたアニスフィア。彼女をその場から連れ出し、行き場を失った彼女を守るために自分の研究助手とすること提案する。そして共に生活し、魔法科学の研究を進めることによって、今まで次期王妃として完璧を求められそれに答えようと生きて来たユフィリアは、破天荒はアニスフィアに翻弄され、己の感情を取り戻し、自分がどうしたいのか見付けることとなる。
更に、王子アルガルドの後ろにいた元平民の男爵令嬢のヒロイン役のレイニ・シアンは、実は王子と恋愛関係などは全くなく、本人の自覚のない吸血鬼で無意識に魅了の魔法を使っていたことが発覚したり。アニスフィアの専属侍女イリアから血を貰う事によって、なんだかこの2人の間もちょっといい感じだったり。アニスフィアを良く思わない魔法省の妨害があったり、王子アルガルドが姉へのコンプレックスと家族たち周囲とのコミュニケーション不足を拗らせて、歪んで、暴走していたり。結局、何と言うか、根は真面目てよい子だから、殴り合って解決した系な。そしてその結果として魔力がないことでその反発も多いアニスフィアが王位を継承しなくちゃならなくなって、大変そうと。そんなアニスフィアを心配し、自分の進む道を探したユフィリアが、実は精霊との契約で王になる資格と永遠の命を得られるだとか。
最終話の、アニスフィアを王にしたくないユフィリアと、ユフィリアが自分を犠牲に、永遠の命と言う孤独を得てまで王になろうとすることを阻止したい、全てを自分で背負い込もうとするアニスフィアの、2人の決闘。ここでも最終的に拳と拳かと、もうゆりゆりした可愛い絵柄と雰囲気に関わらず、滅茶苦茶男らしいなと。
ストーリーも設定も、結構、無茶苦茶な気がして、個人的にコミカライズ1巻とアニメ第1話を観た状態ではお腹いっぱい感があったのだけれども、綺麗な絵で演出良いと、胸キュンするね。百合は個人的にあまり好んで読んだり見たりしないのだけれども、回を重ねるごとに変化していく2人の関係性だとか感情の変化だどかはやっぱり惹かれるし、最終話ではちょっと泣いたよ。戦いながらも互いを思いやってとか。自分の弱さを受け入れる所とか。ユフィリアに自分の前世の記憶があることを打ち明けるシーンとか。それをまるっと受け入れるユフィリアだとか。もう、この両想いは互いを受け入れ合うということなのかなとか。そしてそれはこんな綺麗にハッピーエンドになって良かったなとなるね。全体的に、実際に起きたことよりも、そういう心境の変化や心の流れが丁寧に描かれていたので、受け入れやすかったような気がする。
気になったのは中世ヨーロッパ風の世界観にも関わらず、冒頭の婚約破棄を言い渡すパーティーでのヒロイン役の子のスカートが短いこと。でもって主人公のミニスカート。最終話の空を飛ぶドレスも、スカートって中身見えちゃうよと心配になったり、もっと実用的なデザインがあったのでわとか。他に、王様が王様らしい威厳だとかそういうものが一切なく、ちょっと不安になるなとか。設定は細かいが、世界観の作りが緩めな雰囲気で、まぁファンタジーなので自由ではあるけれども、それでも冒頭のお城とパーティーの雰囲気との違和感は最初は目に付く。
もう一つ。弟王子の急な心の変化。そんな人間って急に変われるのかと。それもちょっと違和感だった。誤解が解けてと言っちゃそうかもしれないけれども。単なる構ってちゃんだったのかとか。物語りのために動いたような印象が残った。
印象的だったのは、第五話の「魔薬と魔剣の魔竜討伐」アニスフィアが空から登場して魔物を一刀両断し、更にドラゴンを討伐するために、身体強化と副作用で感情が高ぶって理性のタカが外れるという魔石を砕いて作った魔薬を飲んで、戦闘狂となって戦うシーンのいつもの柔らかい雰囲気とのギャップとか、アニスをひたすらに心配するユフィだとか、初めてのアニスとユフィの共同作業だとか、箒での空中戦も良かったなと。まぁ、最後はアニスの馬鹿力でここでも結局は力押し。良いね。
総表として中の上。