アニメの感想。

日々ただ消費するアニメの個人的感想帖です。

『八男って、それはないでしょう!』

全12話視聴完了。

異世界転生か転移か。おそらく激務の会社員の主人公が夜中にごはんを食べている途中に意識が途切れて、目が覚めたら異世界の幼子になっていたスタートなのだが、あれはうたた寝なのかな。個人的にすんなりと突然死と思い、いくらきちんとした健康的な食事に気を使っていても、人間、死ぬときは死ぬのだよねと、導入からなんと現実的で怖いのだろうと思ったのだけれども。

今、思い返せばあの食事の用意の様子が主人公を表す全てだったのかもしれない。

異世界の貧乏貴族の八男ヴェンデリンとして目を覚ました主人公は、先の見えない手詰まり感のなか、偶然に発見した魔法の才能と、かなりなご都合主義的登場の師匠の存在により力を手に入れた。この師匠、たった2週間の修行で、あと腐れなく消滅し、その後も人脈とお屋敷という財産を残して、なんたるアフターケアまでばっちり。凄い。12歳になり、冒険者を目指して冒険者予備校の特待生となり、色々ありつつも仲間と婚約者を手に入れ、龍殺しの称号と、莫大な財産と、地位に、もう将来安泰。食うに困らぬ生活ゲット。だけれども、貴族社会のしがらみに振り回されつつ、八男だからなのか、まぁ、長男との埋めようのない確執が。

おそらく、物語の主軸は八男という不遇の運命からの脱却なのかなと。だからこそ、単に成功するだけでなく、実家を継ぐということが重要になり、主人公を落とさずにそれをさせるために、必要以上に長男が悪役になった気がするのが、少々、気になった。が、この作品の特性が物語の筋が先にあり、そのためにキャラクターを消費するという感じだったので、師匠に長男が役割でしか登場しなかったように思える。そして、主人公の人間性というか、希望か見えにくかった。いや、冒頭の料理のシーンで、主人公が食にこだわりがある人物であり、異世界での生活を異様なまでにすんなりと受け入れていたけれども、日々の食事の心配をし、そこで食うに困らぬ生活を最重要視していた。が、あまりにさらりとしていて、うっかり見逃していたよ。だから、最後まで、この主人公は流されっぱなしだなと。最後の最後で、貴族批判からの自分が貴族と気付く意識の変革まで、ほんとうに何がしたのだろうなと思って見続けてしまったよ。

なんか、内容がさらりとしていたのでサクサク見られたよ。重たかったのはOP位かな。曲と作品が上手く噛み合わなかった。

総評として中の中。

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八男って、それはないでしょう! 1 (MFブックス)